株式会社ナカノオート 中野澄様
『創業の雑誌』は事業継承の大切なバトン。
私にとっては、なくてはならいお守りのようなもの。
株式会社ナカノオートは新潟県長岡市で自家用車から商用車・トラックの整備点検、新車・中古車の売買を行っている会社だ。創業者は中野功氏。現在は跡を継いだ子息、中野澄氏が代表を務めている。
ナカノオートは2019年9月に『創業の雑誌』の制作をスタート。取材では、創業者である中野功氏に余すところなく熱い思いを語ってもらった。
2022年6月9日、創業者でもあり父でもある中野功氏に『創業の雑誌』の製作を勧めた社長であり息子の中野澄氏に制作の動機、雑誌完成後に感じたことなどをうかがった。
株式会社ナカノオートの創業の雑誌表紙
タイトル「今日から明日へ」 は会長と社長で熟考の末、決定した。
―『創業の雑誌』を制作しようと思った理由を教えてください
だいぶ前に知人から『親の雑誌』と『創業の雑誌』のサービスについては聞いていました。それからしばらくたったころ、会長から「自伝的なものを残したいと何度か筆をとってみたけれどなかなか書けない」と聞いたんです。一方、私は同時期に受けた次世代経営者の研修で、社員とコミュニケーション不足や心情的な乖離があると指摘を受けたんですね。私は会長と対話を重ね社員への思いや経営に対する会長の考え方を自分に刷り込ませる必要があると感じました。会長の視点を持って世界を体験したいと思ったんです。そんなときこのサービスを思い出しました。『創業の雑誌』を作ることが、会長の視座、思考を知る近道になるのではないかと思ったんです。
―会長の取材に同席されていましたが、そのとき感じたことはありますか?
取材の場で初めて聞く話はそれほど多くはありませんでした。実は、昔は仲がいい親子ではなかったんです。でも、月曜日の夕方になるとどちらかが電話して飲みに行くようになったんです。色んな話を聞きました。中野家の歴史や山の話、私が小さい頃のこと、父からしか聞けない仕事の話とか。でも、こころみさんは、聞き出すのがうまいですよね。
取材中、質問されることによって会長が掘り下げて話していたので、より詳細を理解することができました。
―完成品を手にしてみて
文字に起こされたものを読むと、父らしいなぁと勇気をもらうエピソードや、生きていく上で大切にしたい格言がたくさんありました。知っている話でも文字になると違うパワーを持つ。そういうものは大事にしていきたいと思いました。
それとたくさんの方から感想をいただき、「感動した」、「心が震えた」などの言葉をもらえたのはうれしかったです。会社にとっても宝物が一つ増えたという実感もありました。現在のナカノオートは先代と想いを共にした人たちの積み重ねの上にあることを社歴の浅い人にも知ってもらうツールにもなっています。
―「今日から明日へ」を今後どのように生かしたいとお考えですか?
会社見学会に来てくださる学生さんに読んでもらったり、協力会社の担当者さんに読んでもらいたいです。会社のコーポレートサイトでの活用も考えています。ナカノオートの理念、顧客や地域への想いにある背景を知っていただきたいです。
―今後のビジョンをお聞かせください
子どもたちが暮らしやすい街にしていきたいです。私の長男は自閉症で支援学校に通っています。社員にもそういう子供たちを育てている親の割合が多いと感じています。その子たちが暮らしやすい街、親が働きやすい環境をつくりたい、協生しながらもお互いの価値を最大限発揮できる環境を広げていきたいです。これは自分の代だけでできることではないと思うので、次の代の人たちにもその気持ちを引き継いでいけるようにしたいですね。
―「今日から明日へ」では社長メッセージを執筆されたました
親に手紙を書くことなんてまずなかったですし、感謝の言葉を伝えることもほとんどありませんでした。その感謝の気持ちを残すことができた。会長に思いを伝えられたのは私としては安心できたことの一つです。それに決意表明でもあります。だから自分の中ではとても大事なページですね。
―『創業の雑誌』を検討している方へ一言お願いします
経営者が会社を離れる時期は必ず訪れます。そのあとの人生をどう生きるか。『創業の雑誌』は人生を棚卸しするのにとてもいい体験だと感じました。後継者には『創業の雑誌』をつくる過程が前経営者の思いを同期させる時間になると思います。前経営者は次の世代の人たちを応援するきっかけにもなるんじゃないでしょうか。明文化された創業の雑誌は事業継承の大切なバトンであり、何度も立ち返る大切な場所になると思います。私も必ず後継者に『創業の雑誌』をつくってほしいと提案します。
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